ニュースレター 第52号 (2008年6月発行)
重金属問題連続セミナー 第2回報告
水銀汚染は終わってない!
有害金属コントロールに関する国内外の動向


貴田晶子さん 瀬川恵子さん

 表題のセミナーが4月20日(日)に食糧会館で開催され、約50名の参加がありました。
 貴田晶子さん(国立環境研究所・循環型社会・廃棄物研究センター)が「水銀の環境排出」と題して、また、瀬川恵子さん(環境省環境保健部環境安全課)が「環境中の水銀管理に関する国際的な取組」を話されました。
 お二人とも平成18年度に設置された環境省の有害金属対策策定基礎調査専門検討会の委員です。この検討会は国際連合環境計画(UNEP)が重金属の対策を強化するべくワーキンググループを組織したことにより日本でも設置されることになったのです。
 貴田さんは水銀の課題として国際的にメチル水銀の毒性評価が行われた結果、摂取許容量が下げられたこと、国内的には魚類の摂取制限、アジア圏への廃棄物の輸出の問題、有害物質の排出抑制が課題であり、国際的には石炭燃焼による水銀発生とその長距離移動の問題、感受性の高い女性、妊婦、胎児への健康影響が問題とされているとの報告がありました。
 瀬川さんは、1.世界の水銀利用、2.我が国における水銀に関する取り組み、ならびに3.UNEP重金属プログラムの概要について話されました。世界の需要の最大は金採掘、つぎに塩ビモノマーの製造です。日本では現在は使用していませんが、アルカリ製造の触媒や歯科用のアマルガムなどがあります。電池の需要も大きい割合です。
 日本は自主的な取り組みとして水銀量の削減につながるように各種製品の製造工程における水銀の削減に努めています。その他、海外への情報発信として国立水俣病研究センターを中心に水俣病の被害の事例の共有や、分析手法等に関する国際研修を行っています。また、世界における水銀管理が進むように法的拘束力のある文書の検討及びパートナーシッププログラムを進めているとのことです。
 日本においては水銀の採掘は1974年の北海道の鉱山の閉山を最後に行われていません。現在は電池、照明器具、計器、無機薬品、医療機器など製品や廃棄物から約15t/年、精錬副産物などから約75t/年の金属水銀が回収され、出荷されています。水銀は2006年にはイラン、香港、インドなどに輸出され、輸出量の総量は2006年は2001年の15倍です。それに対して輸入は同年の輸出量の1.4%です。この結果は日本が水銀フリーを果たしてきた結果です。工業的には苛性ソーダや塩ビモノマーの製造に水銀を使用しないことや農薬として使用されてきた水銀の化合物の代替品を製造することなどで削減がはたされています。また、家庭用品で従来使用されてきた殺菌やカビ防止剤などの法定基準が1975年1月1日に制定されてから使用できないようになったとのことです。水銀電池も現在は削減されています。
 一方、蛍光ランプは省エネ対策としてますます利用が広がると予想されますが、1個あたりの水銀使用量が低減されているとのことです。国内では蛍光管廃棄物の取り扱いが今後の課題です。
 UNEPとしてのプログラムは水銀対策のための条約制定の可能性を含め、対策強化の選択肢を検討し、2008年10月頃に予定されている第2回作業グループ会合において結論を得て、2009年2月の第25回UNEP管理理事会に報告される予定です。

               (文責 小椋和子)

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