| 化学物質管理をめぐる議論の場に参加して―産構審化学物質政策基本問題小委員会の報告
国民会議 常任幹事 中地 重晴
なぜ小委員会が設置されたのか
昨年5月産業構造審議会化学・バイオ部会に化学物質政策基本問題小委員会が設置され、12月まで9回の委員会を開催して、化学物質管理政策のあるべき姿について議論しました。市民セクターの代表として小生と佐藤泉先生が参加されています。なぜこの時期に議論したのかですが、化審法、化管法の見直し時期も近いという理由もありますが、それよりも世界的な化学物質管理をめぐる新たな動きの中で、日本の化学物質管理政策はこのままでよいのか、新たな政策を実施するのかが問われてきているからです。昨年5月に、2020年までに悪影響を最小化するというSAICMの世界実施計画がまとめられました。また、EUでは新規化学物質、既存化学物質両方を対象とする新たな化学物質規制であるREACHが昨年末に採択され、施行されることになりました。アメリカでもTSCA(化学物質規制法)を改正する動きがあり、また国連勧告によりGHS(化学品の区分と表示に関する世界調和システム)が2008年までに国内制度に導入することが決められております。
既存化学物質の毒性評価の遅れ
現在市場に出回っている化学物質の種類は10万種類ともいわれ、年々新たな化学物質が製造、輸入されています。こうした新規化学物質の製造、使用に際しては、化審法で事前の届出が義務付けられており、製造量が多いもの(年間1トンを超える)は蓄積性、難分解性試験と共に、安全性評価の実施が義務付けられています。化学物質の使用について事前審査をする制度は、日本が世界に先駆けて1973年に化審法として制度化したのですが、その後の技術革新の中で、製造使用される化学物質の種類や生産量が増加しています。既に使用されている物質(既存化学物質)については、問題が起きていないのであるからときちんとした安全性評価を行わず、使用を認めている事態が続いていました。現在、生産量の大きい既存化学物質については、OECDのHPVプログラムやJapanチャレンジプログラムという企業の自主的な取組みによる安全性評価が実施されてきています。全体でも数千物質までには手が届きません。
REACHの成立
EUが昨年末に導入を決定した新化学物質政策REACHは、全ての化学物質を対象に一定規模の製造量がある物質の安全性評価を事業者に義務付けたのが特徴です。日本も同じような考え方にたって、新規化学物質、既存化学物質を問わず、どのように安全性を評価し、管理していくのか。気がつけば、欧米よりも遅れた法制度をどう見直すのかが今回の小委員会の目的だったといえます。
中間とりまとめについて
産構審小委員会は最初の7回は、化学物質政策のあるべき姿・基本的な考え方、安全性情報の収集・把握、安全性情報に係る情報基盤の整備、安全性情報の伝達、リスク評価体制、リスク管理体制、国際動向や国際協力への的確な対応、リスクコミュニケーションや人材育成などテーマごとの議論を行った後、議論を整理し、中間とりまとめの報告書を作成しました。小生は、市民のために必要な化学物質管理と安全性評価のあり方について、委員会の場で意見を述べるだけでなく、必要な時には、意見書を提出してきました。今号で中下先生が報告されている市民意見の要約も意見として提出しています。
中間とりまとめについては、1月中にパブリックコメントの募集がありました。今後は、中央環境審議会環境保健部会に設置された化学物質環境対策小委員会と合同で、具体的な化管法、化審法の改正論議にいかしていくとのことですので、審議の動向に注目をお願いします。
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