ニュースレター 第44号 (2006年12月発行)
第8年度の活動報告と第9年度の活動方針

国民会議事務局長 中下 裕子

1.第8年度の活動報告
●アスベスト問題
 アスベスト問題については、総合的なアスベスト対策を推進するための基本法の提案を行っていましたが、政府の対応は、建築基準法、廃棄物処理法などの個別法改正にとどまっていました。そこで、国民会議では、政府の対応に対する意見書を作成、提出するとともに、各政党の国会議員に対して働きかけを行いました。
 また、「石綿対策全国連絡会議」(全国連)が主催する「アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償を求める請願・100万人署名活動」にも協力しました。目標を上回る146万余人の署名が集まり、衆・参両院宛に提出しました。しかし、残念ながら、総合的な「基本法」成立には至りませんでした。このため、各法の政省令の改正案に対して逐次意見を述べることにし、意見提出を行ないました。
 さらに、今回のアスベスト関連の法改正は吹きつけアスベスト対策にとどまっており、広く一般住宅でも用いられるアスベストを含有する建材等に対する対策は何ら講じられていません。これらアスベスト含有建材は、そのまま使用するのは差し支えないのですが、破断するとアスベストが飛散する可能性があります。したがって、建物に使用されている建材等についても、まずアスベスト含有の有無を確認し、含有されているものについては、修理・増築等の際に十分注意する必要があります。そこで、国民会議アスベスト・プロジェクトチームでは、一般住宅の中でどんなところにアスベストが使われているのか、使われている場合にどう対処すればよいのかなどについて具体的に解説したブックレットの作成に取り組んでいます。来春刊行予定ですので、ぜひお買い求めの上、皆さんの住宅の中のアスベストの有無をチェックしていただければと思います。
●子どもの環境保健問題
 新・子どもプロジェクトチームが中心となって、今、子どもたちの心身に起きている現象を広く取り上げる連続学習会が始まりました。学習会では、専門家とともに、必ず被害者や被害問題を取り扱うNGOからもお話をうかがうようにしました。その結果、問題への理解が一層深くなり、被害者グループとの交流も進みました。子どもの問題に取り組むNGOはさまざまな領域に分かれていて、あまり相互交流がないのが実情です。国民会議では、このような活動を通じて、さまざまな領域の人々と、しなやかな連帯のネットワークを構築していきたいと考えています。
 金属製のアクセサリーからの鉛溶出の報道を機に、「鉛のリスク削減に関する提言」を取りまとめ、提出しました。行政の担当者と意見交換をしましたが、その中で、どの省庁も縦割り組織の下での対応にとどまっており、トータルな鉛曝露の削減に責任をもって取り組む部局はどこにも存在しないという事実を改めて再認識しました。これでは、第2、第3のアスベスト問題が生じかねません。国民会議の活動の重要性を、改めて痛感しました。
 ブックレット第1弾の「化学汚染から子どもを守る」は、お蔭様で好評でしばらく品切れになっていましたが、このたび改訂版を増刷(第三刷)しました。「牛乳についての警告〜牛乳・乳製品と女性ホルモン」など、新たな問題も追加しています。販売にご協力をお願いします。
●ニュースレターの発行
 環境ホルモン問題については、環境省までが「大した問題ではなかった」として対策を縮減してしまったため、最近では新聞での報道もほとんどなくなってしまいました。しかし、決して問題が解決した訳ではないのは、これまでも繰り返し申し上げてきた通りです。そこで、国民会議としては、研究者の方々にご協力をお願いして、環境ホルモン研究の最先端の情報をわかりやすく紹介するシリーズをニュースレターに掲載することに致しました。今日ではなかなか得がたい情報源としてご活用いただければと思います。また、これを機に会員増大にご協力をお願いできればと願っております。
 その他の活動を含め、第8年度の活動報告は以下のとおりです。
1 政策提言活動
(1)アスベスト問題
@「アスベスト問題に係る総合政策案」に対する意見書の提出(2006.1.23)
A「石綿を含む廃棄物に係る廃棄物処理法施行令等の改正案」に対する意見書の提出(2006.7.8)
(2)内閣府総合科学技術会議「『科学技術に関する基本政策について』に対する答申(案)」に対するパブコメ提出(2005.12.11)
(3)「第三次環境基本計画(案)」に対する意見書提出(2006.2.28)
(4)「鉛のリスク削減に関する提言」の提出(2006.5.12)
2 シンポジウム・学習会の開催
(1)新・子どもプロジェクト連続学習会の開催
@「子どもに何が起こっているのか?」(講師:瀧井宏臣氏、水野玲子氏、2006.5.27)
A「子どものアレルギーが増えている!」(講師:角田和彦氏、赤城智美氏、2006.6.25)
B「化学物質過敏症から子どもを守れ!」(講師:古川俊治氏、青山和子氏、2006.7.1)
C「子どもの『脳の発達障害』と向き合おう〜LD、ADHD、高機能自閉症〜」(講師:黒田洋一郎氏、新堀和子氏、2006.10.22)
(2)学習会「プラスチックごみ処理 ここが問題!〜プラスチックごみ中継基地の問題点〜」開催(講師:影本浩氏、2006.7.14)
(3)他NGOとの連携
@第2回未来世代のための環境シンポジウム「化学物質の健康診断と予防原則」(2006.6.24)
ATウォッチ市民セミナー「どうする日本の化学物質管理−市民からの提案」(2006.9.9)
B容リネットへの参加
3 ノンアスベスト社会の実現に向けて、「アスベスト対策基本法の制定、すべての被害者の補償を求める請願・100万人署名活動」への協力
4 ニュースレターの発行
・「環境ホルモン研究の最先端」シリーズ開始
5 HCWH『医療廃棄物の非焼却処理技術』の翻訳版完成、ホームページに掲載
6 ブックレットの刊行
・第5弾「アスベストにどう対処するか」(仮題)作成中(来春刊行予定)
・「化学汚染から子どもを守る」新版増刷

2.第9年度の活動方針
 第9年度の活動方針は下記のとおりです。
 EUの新化学物質政策(REACH)が、いよいよ議会通過の見通しです。これを受けて、日本でも現行の化学物質管理制度の見直しの動きが出始めています。2005年、国民会議をはじめ化学物質問題にかかわるNGOが連携して「化学物質汚染のない地球を求める東京宣言推進実行委員会」を結成し、署名活動を行いました。今般、それらのNGOが中心となって、新たに「新化学物質政策NGOフォーラム」を結成し、新たな化学物質政策についての市民提案を作成、提案の予定です。また、来年3月にはEU・アメリカから講師を招いて国際セミナーの開催を企画しています。
 来年9月には、国際ダイオキシン会議が東京で開催されます。これに合わせてNGOフォーラムを開催できるようにしたいと考えています。
 今総会で、新たにCS(化学物質過敏症)問題にお詳しい方々が常任幹事に選任されましたので、新たにCSプロジェクトチームを設置して取り組みを開始したいと思います。
 EUでは、「RoHS規制」という製品中の有害物質規制も始まりました。日本では製品中の化学物質に関しては、情報開示さえ極めて不十分な状況です。ブックレットe「知らずに使っていませんか?家庭用品の有害物質」ではこの問題を取り上げましたが、このブックレットで取り上げられなかった家具や自動車、IT製品などについても調査を開始し、助成金が得られればブックレットにまとめたいと考えています。
 アスベスト問題、子どもの環境保健問題、食品問題、廃棄物問題についても、引き続き活動を継続してまいります。広報委員会(ニュースレター担当)も、皆様のご要望に沿えるような情報発信に努めてまいります。
 国民会議の活動範囲は年々拡大し続けています。物言えぬ野生生物と次世代の子どもたちに成り代わって、第9年度も精力的に活動を続けていきたいと考えています。どうか、引き続きよろしくご支援・ご協力をお願い申し上げます。
〈第9年度の活動方針〉
1 アスベスト問題
 ・ブックレットの発行
 ・情報収集、学習会の開催
2 子どもの環境保健問題
 ・鉛のリスク削減についての再提言
 ・情報収集、学習会の開催
 ・子ども問題にかかわる他分野の人々との交流の推進
3 新たな化学物質管理のあり方をめぐる問題
 ・「新化学物質政策NGOフォーラム」を結成し、市民提案を作成
 ・国際セミナーの開催(2007年3月4日)
4 ダイオキシン問題
 ・国際ダイオキシン会議にあわせたNGOフォーラムの開催
 ・ダイオキシン法の見直しに関する提言作成
5 廃棄物問題
 ・廃プラ問題についての情報収集、学習会の開催、提言作成
 ・容リ法改正提言の作成
6 環境ホルモン問題についての情報発信
 ・ニュースレターでの掲載、学習会の開催
7 食品の重金属汚染問題
 ・情報収集、学習会の開催
8 CS問題
 ・新プロジェクトチームを結成して、情報収集、発信、提言などの取り組み開始
 ・ 相談体制の整備に向けた準備活動
9 家庭用品中の有害物質問題
 ・ブックレットBの第2弾の発行準備(予算申請)
10 ニュースレターの発行
11 会員拡大
 ・支部活動への支援
12 他NGOとの連携強化

〈第8年度の活動記録〉
2005年12月11日 内閣府総合科学技術会議『「科学技術に関する基本政策について」に対する答(案)』に対するパブコメ提出
2006年1月23日 関係閣僚会合「アスベスト問題に係る総合政策案」に対する意見書の提出
 1月30日 「100万人署名達成!なくせアスベスト被害、国民決起集会」開催・デモ・署名提出(主催:石綿対策全国連絡会議)につき協力
 2月28日 中央環境審議会総合政策部会「第三次環境基本計画(案)」に対する意見書提出
 5月12日 「鉛のリスク削減に関する提言」を環境省、厚労省へ提出、各担当行政官と意見交換。記者会見
 5月22日 同、文科省へ提出、担当行政官と意見交換
 6月1日 同、経産省へ提出、担当行政官と意見交換
 5月27日 新・子どもプロジェクト連続学習会(第1回)「子どもに何が起こっているのか?」(講師:瀧井宏臣氏、水野玲子氏)開催
 6月24日 第2回未来世代のための環境シンポジウム「化学物質の健康診断と予防原則」開催(主催:NPO次世代環境健康学センター/WWFジャパン)につき協力
 6月25日 新・子どもプロジェクト連続学習会(第2回)「子どものアレルギーが増えている!」(講師:角田和彦氏、赤城智美氏)開催
 7月1日 新・子どもプロジェクト連続学習会(第3回)「化学物質過敏症から子どもを守れ!」(講師:古川俊治氏、青山和子氏)開催
 7月8日 環境省「石綿を含む廃棄物に係る廃棄物処理法施行令等の改正案」に対する意見書の提出
 7月14日 公開学習会「プラスチックごみ処理 ここが問題!〜プラスチックごみ中継基地の問題点〜」(講師:影本浩氏)開催
 9月9日 市民セミナー「どうする日本の化学物質管理−市民からの提案」開催(主催:有害化学物質削減ネットワーク(Tウォッチ))につき協力
 10月22日 新・子どもプロジェクト連続学習会(第4回)「子どもの『脳の発達障害』と向き合おう〜LD、ADHD、高機能自閉症〜」(講師:黒田洋一郎氏、新堀和子氏)開催

 

前のページに戻る