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| 講師:角田和彦氏(かくたこども&アレルギークリニック院長) |
赤城智美氏(「アトピッ子地球の子ネットワーク」代表) |
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最近アレルギーを持った子どもが増えたと感じる人が多いのではないでしょうか。実際、厚生労働省が平成15年に行った保健福祉動向調査では、皮膚、呼吸器及び目鼻のいずれかの症状があったのが、0歳から4歳で37.3%、5歳から9歳で42.7%にものぼりました。これほど多くの子ども達がアレルギーに罹ってしまっている状況で私たちはどう対処すればいいのでしょうか。
●環境の悪化からみた子どものアレルギー(角田和彦氏)
かくたこども&アレルギークリニックは、アレルギー、化学物質に敏感な小児、化学物質過敏症の人の治療を目的とした病院です。その院長をされている角田和彦氏は、アレルギーの原因に有害化学物質やダイオキシンの影響があることを指摘され、そのような視点から治療を続けてこられました。
「アレルギーはなくすな。アレルギーを持っていなさい。」と角田氏は言います。アレルギー反応は生体防御反応です。例えば、卵を食べると吐いてしまうような子どもは、自分で「卵が自分に適した食品でない」ことがわかっているのです。それを親が卵は健康にいいと思い込んで無理に食べさせてしまっているのです。大事なことはアレルギーを起こしているものは何かに注意することです。何を除いたらよくなるかを知り、原因物質を除去し、他の食品に替えるだけで、症状は治ってしまうのです。
何がアレルギーを起こしているかという原因はまだ科学的に解明されていませんが、その一因にダイオキシンや化学物質が影響していると角田氏は指摘します。化学物質が免疫力を低下させ、低下した免疫力を補うためにアレルギー反応が強く起こって生体防衛をしていると考えられるからです。
そもそもアレルギー反応とは、異物が体内に入ってきた時に自分の体にとって有害な物質を見つけ出し排除する働きで、赤ちゃんをある一定期間は胎内で育てる哺乳類だけが持っている生体防御反応です。しかし、化学物質・ダイオキシンの影響によって免疫力が低下すると、正常なアレルギー反応が暴走し、アレルギー疾患を起こしてしまうと考えられます。免疫力を低下させる化学物質は、有機リン系、有機塩素系などの室内化学物質、輸入小麦のポストハーベスト、ダイオキシン、PCBなど数多くあげられます。
性ホルモン、特に牛乳中のプロゲストロンもアレルギーを起こすおそれがあるそうです。また、油脂の摂取に関しても注意が必要です。トランス脂肪酸は、細胞膜の構造を変化させ、心臓疾患や糖尿病、認知症、アレルギー疾患、神経症状を悪化させ、子どもの発達に影響するおそれがあります。マーガリンなどの加工油脂、油脂を含む食品、高温で抽出された植物油脂は避けて、圧搾絞りで生産された農薬汚染が少ない油脂(グレープシードなど)を使うべきだということです。
では、具体的な解決策はどうすればいいのでしょうか。角田氏は、「日本という土地・生活環境に適した食べ方・暮らし方をつくり出すことが、環境からみたアレルギーの治療法だ」と言います。アレルギーの原因物質は、卵、牛乳、小麦(特に、パンに使われるグルテンが多い強力粉、輸入小麦のため有機リン殺虫剤汚染がある)が多くなっていますが、これらは元々の日本の伝統的な食生活とは異なり、日本人の体質には合わない食品です。また、最近では魚や果物(バナナ、キウイなど)でもアレルギー反応を起こす人が増えています。海洋汚染により魚の汚染がひどくなり、果物が農薬漬けになっているためだと考えられます。アレルギー予防には、米、野菜たっぷりの味噌汁、漬物とお浸し、少量の季節の果物、野菜の煮物、汚染が少ない肉や魚を食べることが大切です。さらに気をつけることとして、q免疫を低下させ神経を過剰興奮させる有害化学物質で汚染された食品を避けること、w女性ホルモン作用をもつ食品を避けること、eリノール酸、トランス脂肪酸、硬化油脂(食用加工油脂)の摂取を減らすこと、r食物繊維・ビタミン類・抗酸化物質を多く食べることを教えていただきました。つまり、私達日本人がずっと食べ続けてきた和食がアレルギー予防の基本なのです。(さらに詳しく知りたい方はこちらのホームページをご覧下さい。http://homepage2.nifty.com/smark/)
● 暮らしの中のアレルギー対策(赤城智美氏)
アトピッ子地球の子ネットワーク(以下、アトピッ子)は、アトピーやアレルギー性疾患をもつ患者とその家族の支援を目的としているNPOです。「まず暮らしありき」という視点から個人の生活に適したアドバイスを、電話相談などを通して行なっています。
アトピッ子には、年間700〜800件もの電話相談が寄せられ、2004年には化学物質に関する事例が38件、その中に江東区元加賀小学校の児童からの相談が3件ありました。江東区元加賀小学校では、03年の夏休みに建物の内装工事をしたことから児童が体調不良を訴え、全校児童が他の小学校に一時的に避難したという事件がありました。アトピッ子は05年に被害児童とその親に対してアンケート調査と重心動揺調査を実施しました。回答数は135人(全校生徒の3分の1)でした。その結果、発生後2年経ってもアレルギーや鼻血、頭痛などなんらかの症状を訴える児童が48%いることが判りました。また、体調変化に加えて、家庭の室内環境や生活実態についてもアンケートをしたところ、室内でエアコン、防虫剤、芳香剤などを使っている家庭が多く、食品には注意をしていても、室内環境に対する環境改善には意識が薄いことがわかりました。夏に冷房のためエアコンを使っていると汗をかけない体質になってしまいます。室内環境の改善も重要なポイントです。
また、治療のために定期的に薬を飲んでいるという子どもが体調変化を訴える数が多いこともわかりました。アトピッ子の相談事例では、あるぜん息の児童が、化学物質過敏の症状を呈したとき、ぜん息治療薬の服用を止めたところ化学物質過敏症の症状が緩和されたということがありました。こういった事例は複数あり、化学物質が身体の許容量を超えて影響を与えているとき、治療薬までもが「許容量をあふれさせる化学物質のひとつ」と考えなければならないことを示唆していると思います。
さらに、アトピッ子の電話相談を通して、大豆油が原因でアレルギーを起こす割合が小麦を原因とするものとほぼ同じだとわかりました。この事実は厚生労働省のモニタリング調査からはわかっていません。油に対しては注意していない人が多いことが危惧されます。
最後に、赤城氏から、アレルギー予防のために、q睡眠時間を見直して子どもが回復する力をもてるようにすること、w時代にあった食生活・ビタミン・ミネラル補強をすること、e自治体の農薬散布など地域にも目を向けること、r家庭の室内環境と学校生活を再点検すること、t外遊び・散歩をすること、y自律神経を刺激する工夫をすることを大切にしてくださいとのアドバイスをいただきました。(アトピッ子のホームページはこちらです。http://www.atopicco.org/)
角田氏と赤城氏のお話で共通する点は、アレルギーは日々の食生活と生活環境を改善することで予防・治療ができるのだということです。日頃の何気ない生活習慣が実は自分や家族の免疫力を弱めているかもしれません。アレルギー予防・治療という観点から日常の生活をもう一度見直してみましょう。
(子どもプロジェクトチーム・粟谷しのぶ)
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