ニュースレター 第41号 (2006年6月発行)
東京23区のごみ問題はどうなっているの?
〜廃プラ・サーマルリサイクルの危険な選択!〜

常任幹事 藤原 寿和
(廃プラ燃やすな!市民協議会)

 4月17日、東京23区及び清掃一部事務組合は「東京23区における廃プラスチック等のサーマルリサイクルの実施について」という記者発表を行いました。その主な内容は、2008年度(平成20年度)から23区全域で廃プラスチックを「可燃ごみ」として収集し焼却処理する、それに向けて今年度から収集運搬のモデル事業と清掃工場における焼却実験に入る、というものです(詳細は右表を参照)。
 23区では、すでに昨年10月、東京湾に残された最後のごみ埋立処分場の延命のためと同時に、資源の有効活用を目指すとして、埋立処分場に占める割合の高い廃プラスチック等をそのまま埋め立てるのではなく、可燃ごみとして焼却することにより熱エネルギーを回収する「サーマルリサイクル」を実施する方針を打ち出していました。
 これまで東京23区では、「炉が傷む」「塩化水素の発生によって健康被害が発生する」などの理由から、廃プラスチックは「不燃ごみ」扱いをしてきましたが、今回の決定はその方針を大きく変えることになります。ところがこれほど大事なことを決めるのに、各区の議会や区民等にも諮らずに区長会で決めるという議会軽視、区民無視が行われています。こうした手続き上の問題にとどまらず、今回の方針には以下のような問題点があります。
 第一には、これまで行政や区民らが取り組んできた分別排出や減量化、資源化の取り組みの努力に水をさすという点です。分別もせずに捨てられるということになれば、せっかくごみ排出量の減量化が進んできたその流れを止めることになり、結果として再びごみ量の増大をもたらすことになります。
 第二には、高温燃焼による熱負荷をもたらし、東京のヒートアイランドに一層の拍車をかけることになります。
 第三に、廃プラスチックの焼却は、ダイオキシン類や重金属類など有害な化学物質の生成による環境汚染を促進することになります。組合では、現在の焼却炉は高温燃焼の達成やバグフィルターの設置等によりダイオキシン類の排出は問題にならないレベルにまで低減されているので、廃プラスチックを燃やしても問題がないと説明していますが、バグフィルターの破損(新江東清掃工場、江戸川清掃工場等)による汚染物質の排出は避けられません。また、煙突からだけでなく煙道(ダクト)や灰ピットなどからリークしたダイオキシン類や重金属類などが含まれたばいじんが建屋から漏出する可能性もあり、決して問題がなくなったわけではありません。また燃焼温度を上げるほど、毒性面で問題のある芳香族炭化水素類が発生しやすくなるとの指摘が専門家からなされています。
 第四には廃プラスチックの高温燃焼は大気汚染をもたらすだけでなく、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出により、地球温暖化にさらに拍車をかけることになります。
 以上のような問題点を考えるならば、廃プラスチック対策は燃やすことではなく、使用量や排出量の抑制対策の他、容器包装リサイクル法による分別の徹底と、プラスチックメーカーによる回収と再使用や再生利用の促進などの対策を推進する必要があります。さらに、最近の研究では、廃プラスチックを放置しているだけでプラスチックから有害な化学物質が大気中に揮散することが知られており、さらに摩擦や圧縮、破損等の物理的な力が加えられることで、杉並病の原因となったとされる様々な石油系人工合成化学物質の発生がもたらされることが明らかになっており、その点からもプラスチック製品の使用はできるだけ避けることが必要ではないかと思います。この機会にみんなでどうしたらよいか考えてみませんか。

1.新たに焼却の対象とするごみ
 区が収集する廃プラスチック、ゴム、皮革類
2.効果
・廃プラスチックの焼却は、埋立ごみ量のうちの約6割の削減が見込まれる。
・焼却により発生する熱エネルギーによる発電で生じる余剰電力は電力会社等への売電により、工場運営コストの効率化につながる。
・廃棄物の輸送距離の縮減により環境負荷や経費の低減になる。
3.今後のスケジュール等
 平成18年度:モデル収集実施(品川・大田・杉並・足立の4区で実施)
 平成19年度:モデル収集実施区の拡大
 平成20年度:23区での廃プラスチックのサーマルリサイクル本格実施
4.清掃工場における調査
 モデル収集実施区が収集した廃プラスチック等を搬入するすべての清掃工場で、サーマルリサイクルの影響や効果の調査を行い、その結果を各区広報やホームページ等で公表する。

 

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