ニュースレター 第40号 (2006年4月発行)
「小児等の環境保健に関する国際
シンポジウム第4回」の報告

 2月24日に環境省の主催で「小児等の環境保健に関する国際シンポジウム第4回」が開催されました。
1.「日本人の小児特性に関する調査報告」
   国立環境研究所 青木泰展氏

 小児は重要な発達段階にあり、小児特有の環境下で特有の行動をとる。小児の特性を考慮して化学物質が小児の発達に及ぼす影響を検討する必要がある。環境に由来する化学物質のリスク管理および小児の曝露の削減には、小児の化学物質への曝露の経路、曝露源、時期、曝露機会の多い化学物質等、子供の環境曝露の要因についての知見が必要である。国環研では、子供の特性や行動を考慮した環境曝露評価を可能にするデータの収集を行っており、小児に特徴的な曝露パラメーターとして、行動・食物摂取量・土壌摂取量・呼吸量を収集している。
2.「小児のマウシング行動と化学物質曝露」
   国立成育医療センター 谷村雅子氏

 幼児がマウシングを介してどのくらいの化学物質を経口摂取しているかを評価するための研究報告。(1)どのくらい嘗めているか(マウシング行動の実態調査、マウシング時間の計測)、(2)マウシングでどのくらい溶け出すか(PVC玩具片を用いた成人の可塑剤DINPの口腔内溶出試験)、(3)摂取量は小児の健康に影響するか(小児の体重あたりの曝露量の推定、毒性検討)つき報告した。また、この報告を受けて、おもちゃの規格基準が改正された(合成樹脂製で乳幼児が口に接触するおもちゃにはDEHP又はDINPを含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用禁止/それ以外の合成樹脂製のおもちゃにはDINPを含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用禁止)。
3.「ドイツにおける子供の環境曝露評価GerESの最新報告」
   ドイツ連邦環境庁 マリケ・コロッサ・ゲーリング氏

 「ドイツ環境調査」(GerES)は1980年代半ばからの継続的な大規模調査で、住民の代表サンプルを用いた汚染物質の体内蓄積による影響評価、体内に蓄積している物質への各媒体(空気、水、ハウスダスト、食物など)からの影響評価、曝露量の評価モデルの開発を目的とする。現在小児を対象にGerES (2003 〜2006夏)を遂行中。3〜14才の小児1,800名を対象に150地点に対し、基礎調査では、血液・尿・水道水の分析、小児の寝室の窓外における交通騒音の測定、小児の聴力測定を実施する。また長期間にわたる住居内の環境調査を行い、ハウスダスト・室内空気の測定を行う。
4.「子供の精神健康と環境」
   国立精神・神経センター 加我牧子氏

 発達障害は特別な配慮により発達が期待でき、環境との相関によって症状が変化しうる。ADHD児は親がしかってばかりだと自己否定的になり問題が悪化する。行動変容療法や家族への精神的支援といった環境調整や教育的支援が必要で、不注意な点を改善するにはメチルフェニデート(リタリン)などの薬物療法も効果的である。好ましくない行動を減らすには「無視、待つ、ほめる」の使いわけが必要である。自閉症児には絵カードなどを使って一日の予定や順番の見通しをつける「暮らしの構造化」が役立つ。
5.「局地的大気汚染の環境影響に関する疫学調査―SORAプロジェクト」
   環境省環境保健部 俵木登美子氏

 環境省が2005年から実施しているそら(SORA)プロジェクトは、気管支ぜん息の発症と道路沿道における自動車排出ガスへの曝露との関連性を明らかにすることが目的である。
 調査は、学童コホート調査、幼児症例対象調査、成人を対象とした調査の3つが行われる予定である。昨年、学童コホート調査は、大都市の主要幹線道路沿道にある学校に通う小学1〜3年生の約16,000人を対象に行われた。調査では、環境影響評価、屋内アレルゲン調査、自動車排出ガスへの曝露評価を実施する。
6.「米国National Children,s Study(小児健康調査)」
   米国環境保護庁 ジェイムズ・クワッケンボス氏

(1)米国小児健康調査(NCS):米国では2000年から小児の健康と発達に関する大規模調査が行われている。この調査はNational Children,s Study(NCS)と呼ばれ、約10万人の小児を対象に、小児とその家族および環境に関して、妊娠前または妊娠初期から21歳に至るまでの長期にわたって実施する。全米各地に105の登録調査地域が設置され、8つのセンターが調査対象地域を選定、被験者を募集する。
(2)国際小児がんコホート・コンソーシアム:2005年に米国をはじめとする各国の研究機関が設立した。現在は米国、英国等の7調査が遂行中で今後さらに4調査が加わる予定である。現段階で日本は未参加である。
(広報委注:データ収集方法等調査の詳細については紙数の関係で本誌では省略)

 

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