高濃度のダイオキシン類等の汚染に曝される住民や園児の健康は大丈夫だろうか!?
〜東京都北区豊島五丁目地区ダイオキシン土壌汚染問題〜
ダイオキシン委員会(常任幹事) 藤原 寿和
はじめに
東京都北区にある豊島五丁目団地が、昨年1月以来、団地内やその周辺の工場跡地の土壌が高濃度のダイオキシン類や重金属類によって汚染されていることが判明し、大きな問題になっています。団地内には保育園もあり、その園庭からも土壌の環境基準(1000pg-TEQ/g)を超える高濃度のダイオキシン類が見つかったため、直ちに園は閉鎖され、それ以来現在に至るも使用できない状態が続いています(写真1参照)。
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| 写真1 閉鎖された豊島東保育園の園庭 |
この団地のある場所は、1968年(昭和43年)ころまで日産化学工業という農薬などの化学薬品を製造していた工場が操業していたところで、その後、旧日本住宅公団(現・都市再生機構)が土地を取得し、約5000戸の公団住宅として整備されたものです。
実はこの団地の土壌汚染は、今にはじまった問題ではありません。1975年(昭和50年)10月4日及び5日付の日刊紙は、「日産化学跡地に建設された住宅公団豊島五丁目団地内の学校が水銀、カドミウム、ニッケル等で汚染されている」と一斉に報道されたことがありました。当時、私(筆者)は、江東・江戸川一帯の日本化学工業による六価クロム鉱滓の市街地投棄埋設による土壌汚染問題に関わっていた関係で、直ちに豊島五丁目団地に調査のため訪問したことがありました。まさかその時には、今日のダイオキシン類等による汚染問題が起きるとは思いも及びませんでしたし、30年経って再びこの団地を訪問することになるとは……。実に感慨深いものがあります。
発端
さて、今回のダイオキシン類等による土壌汚染が発覚した発端は、昨年1月から2月にかけて、北区が豊島五丁目団地に接する旧豊島東小学校の跡地利用のため、土壌調査を行ったところ、地表下1mから環境基準値を超えるダイオキシン類が検出されたことがきっかけでした。そのため、北区では昨年3月に豊島五丁目団地内及び近隣の区有施設10カ所の表土の土壌調査を行い、その結果が4月
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写真2 覆土工事が行われた汚染地
(06年1月22日、筆者写す) |
19日にはじめて新聞等で公表されました。実は、それ以前からこの団地周辺ではダイオキシン類による土壌汚染のことはわかっていたのです。それは、一昨年(平成16年)12月、豊島四丁目にあった日本油脂及びコスモ石油が都市再生機構に土地を売却するに際して、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」第116条に基づく土壌調査を実施したところ、最大値で日本油脂跡地から6600、コスモ石油跡地から何と20万pg-TEQ/gという極めて高濃度のダイオキシン類が見つかったもので、12月21日には会社による住民説明会も開催されていたのです。
北区及び都市再生機構では、汚染が発覚した昨年4月中に、応急的に土壌が露出している部分はシートを張って立ち入り禁止にするとともに(写真2参照)、保育園の保護者や団地住民に対する説明会を開催するなどの対応策を実施しています。
拡大する汚染
その後の経緯ついては、以下に年表風に紹介しますが、調査区域や調査深度が広がるほど、深刻な高濃度ダイオキシン類汚染と土壌基準を超える重金属類の汚染実態が明らかになっています。
05年4月27日 北区と都市再生機構による住民説明会
05年6月14日 都市再生機構が豊島五、六丁目地区のダイオキシン類調査結果を公表。57地域中7地域が基準超過。北区「豊島地区ダイオキシン対策本部」を設置。
05年6月18日 としま若葉小学校で都市再生機構による住民説明会(筆者出席)。
05年8月15日 豊島五丁目団地都市再生機構用地の深度調査で基準の19倍のダイオキシン類検出。
05年8月19日 豊島五丁目団地の旧豊島東小学校校庭地下から基準の240倍のダイオキシン類検出。
05年9月23日 豊島五・六丁目地区のダイオキシン類土壌汚染調査についての説明会。各所で基準を上回るダイオキシン類検出。
05年9月30日 都市再生機構が豊島五丁目団地内の重金属等による土壌汚染調査結果公表。9カ所中6カ所で鉛が基準値オーバー。
05年11月10日 都市機構が土壌調査結果を公表。基準の230倍のダイオキシン類検出。鉛は11.3倍、ヒ素2.7倍。
05年11月19日 北区、都市機構が住民説明会開催。
05年12月7日 北区、東京都に対してダイオキシン類特措法に基づき土壌汚染地域指定の要請。
05年12月27日 東京都環境審議会水質土壌部会開催される。
06年1月17日 豊島東保育園の重金属類土壌汚染調査結果発表。鉛が基準値の5.53倍検出。
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| 写真3 応急措置が施された団地内 |
北区、住民の健康影響評価の実施
団地住民、とくに汚染された保育園に園児を預けてきた保護者らの強い要望により、北区は昨年9月26日、「北区豊島地区ダイオキシン類健康影響評価検討委員会」を設置し、昨年10月30日に第1回委員会を、今年1月22日に第2回委員会を開催して、専門家の意見を聴取しながら健康調査を進めることにしています。2回目の委員会で、公募の結果、約150名の希望者に対する健康調査を実施することになりました。
ダイオキシン特措法による指定
また、北区は、東京都に対して、ダイオキシン類対策特別措置法による地域指定を受けるため、昨年12月7日に東京都に対して要請をしました。この「地域指定要請」を受けて、東京都では昨年その第1回目の委員会が昨年12月27日に開催され、指定に向けての動きがはじまっています。
以上、これまでの経過を紹介してきましたが、汚染実態と住民への影響については今後明らかになってくると思いますので、今後ともこの紙面で紹介していきたいと思います。
〔追記〕2月13日、全国で4番目の地域指定が決まりました(東京都方針)。土壌調査結果の詳細は、北区役所のホームページをご覧下さい。
URL:http://www.city.kita.tokyo.jp/dioxin/index.htm
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