| 課題を残したままアスベスト新法が成立
国民会議事務局長 中下 裕子
アスベスト新法が、去る2月1日に衆議院を、同月3月に参議院をそれぞれ通過し、成立しました。新法は、q被害者救済法案と、w建築基準法等の改正法案とから成り、一括で審議、採決が行われました。政府案に対しては、民主党、共産党から修正案が提出されましたが、自民・公明両党の賛成多数で原案通り可決、成立しました。
今回の法案は、アスベスト被害発生についての国の責任を認めたものになっていません。qの救済法案の性格は、被害の賠償ではなく、一種の見舞金を支給するというもので、給付水準は労災に比して著しく低いものになっています。また、wの今後の被害拡大防止対策についても、既存法令の一部改正にとどまっており、到底、抜本的対策といえるものではありません。
国民会議では、この問題が俄に社会問題化した昨年8月に、アスベスト対策チームを設置し、抜本的な対策の実現を目ざして活動を行ってきました。同年9月には「アスベスト対策基本法の立法提言」を作成し、立法・行政に提出しました。また、昨年末の12月27日に関係閣僚会合から発表された「『アスベスト問題』に係る総合対策」に対しても、意見を取りまとめ、本年1月23日に衆・参両院の議員に配布して要請行動を行いました。
周知のように、アスベスト問題については、従来から、「石綿対策全国連絡会議」を中心として精力的な運動が続けられています。国民会議も同連絡会議の活動に全面的に協力してまいりました。会員の皆様にもご協力をお願いしておりました署名活動につきましては、お蔭様で、100万人を大幅に上回る181万余筆(1月30日現在)もの署名が集まりました。
また、1月30日には、同連絡会議主催の「100万人署名達成!なくせアスベスト被害、国民決起集会」が日比谷公会堂で開催されました。約2500名の参加者があり、会場は熱気で溢れていました。集会には、民主党、共産党、社民党の国会議員も多数参加され、この問題に取り組む決意を表明されました。国民会議からも事務局長が来賓としてアピールを行いました。患者さんやご遺族の方からは口々に無念さを訴えるお話があり、会場は涙と国の無策に対する怒りに包まれました。
集会に引き続き、デモ行進が行われました。患者さんやご遺族の方々は遺影を掲げての行進でした。途中、衆・参両院の議員面会所で請願書を手渡しました。民主党、共産党、社民党の多くの議員が直々に出迎えてくれました。
今回の法案は補正予算にかかるため、十分な審議が行われないまま、短期間のうちに国会を通過してしまいました。しかし、法案には多くの問題点があり、また、潜伏期間を考えても、今後も相当長期間にわたって被害者が発生し続けることは避けられません。その意味で、私たちは、今後も法律の実施状況を注意深く監視するとともに、二度とこのような失敗を繰り返さないためにも、抜本的対策の実現を求めて、粘り強い運動を続けていかなければならないと思います。皆様のご支援、ご協力をお願いします。
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