ニュースレター 第39号 (2006年2月発行)
国民会議総会記念「食品の重金属汚染分科会」報告

国民会議副代表 神山美智子

 昨年10月29日、中野サンプラザで総会記念の学習会がありました。立川代表の講演要旨は前号に掲載されていますので参考になさってください。
 今回は、その後参加者と一緒に討議した各論の内容を紹介します。
 当初は、幹事が作成した「食品と重金属を書き込んだ表」に参加者が○や×を付けるというワークショップを行う予定でした。しかし参加者が予想以上に多かったので、混乱を避けるため、この計画は急遽取りやめ、食品プロジェクトメンバーが各自分担か所の説明をすることにしました。
 まずカドミウムについて、食品プロジェクト座長の森脇靖子さんが説明しました。米はなぜか新潟や秋田など米所の汚染度が高く、東京に住む人たちはそうした地域からの米を食べているため、世界一人体汚染がひどいというのです。農水省の調査では玄米における汚染の最大値が1.20ppmでした。米については厚生労働省が食品衛生法に基づいて作成している基準(1.0ppm)と、土壌汚染防止法に基づいて農水省が管理している基準(0.4ppm)があり、0.4ppm以上汚染されている米は農水省が買い上げて工業用の糊などに転用しています。
 米の汚染原因は、水田の土壌汚染なのですから、同じ水田の米は同じ程度の汚染度を示します。そのため同じところの米ばかり食べず、あちこちのものを分散して食べた方が良いとのことです。しかし実家が農家のようないわゆる縁故米を食べている人は、毎回同じ米ですし、共同購入している人も同様です。非常に難しい問題だと思いました。
 また、水産庁が行った調査で最も高い汚染濃度を示したのがスルメイカ内臓です。次がズワイガニ内臓、ホタテうろ、イカ塩辛、アワビ内臓、ホタテ卵、アカニシ(内臓含む)、ケガニみそ、サザエ内臓などとなっています。米の場合は、汚染度の最も高いとされているものでも、1.2ppm程度ですが、スルメイカ内臓は96ppmですから、80倍の汚染度ということになります。ただし食べる量が圧倒的に違うので、身体に対する影響も違います。
 その他植物では、ダイズ、小麦の汚染が高くなっていますが、休耕田の転換作物としてダイズを植えると、ダイズのカドミウム汚染まで高くなるのだそうです。考えてみれば同じ汚染土壌なので当然だということになります。
 また森脇さんは、東京都が行った平成15年のPCB汚染調査についても報告しました。暫定規制値を超えたものはなかったという調査ですが、やはり高いのは内海内湾魚介類と魚介類加工品です。最も汚染度の高いのはスズキの0.46ppmで、次がハマチの0.32ppmでした。暫定規制値は3.0ppmです。
 水銀については私が担当なので、厚生労働省の発表資料によって説明しました。厚生労働省はメチル水銀の摂取量を試算し、妊娠の可能性のある女性に、クジラ類やカジキ類、マグロ類の摂取を少なくするよう勧告しています。しかし厚生労働省が根拠とした20才以上の女性のマグロやクジラの平均摂取量が非常におかしいのです。日本人のマグロ好きは誰一人知らないものはありません。しかし0.55μg/kgという平均濃度のクロマグロの平均摂取量が35.7g、平均汚染濃度0.38(単位同上)のミナミマグロが35.7gで、汚染度0.49のエッチュウバイガイ40g、同じく0.37のイシイイルカが96.4g、0.70のツチクジラが96.4g(いずれも1日)などとなっているのです。マグロ以上のバイガイ、マグロの2倍以上のクジラの摂取量などありえない数字ではないでしょうか。以前クジラ問題を扱っている人から聞いた話では、クジラの水銀汚染問題について厚生労働省と交渉したとき、クジラなど統計上平均摂取量が出てこないから規制できないと言われたのだそうです。
 それなのに、マグロの汚染が問題になると、クジラの方がたくさん食べているという作為的な数字を出してくるのです。おかしかったのは汚染度0.35のヨシキリザメで、この摂取量が82.5gです。これは何でしょうと私が言ったところ、会場の参加者がカマボコ原料だと教えてくれました。カマボコはグチだと思っていましたが、サメだったのです。
 続いて鉛を取り上げました。プロジェクトメンバーの中川泉さんは、ガラスの専門家なので、中川さんがクリスタルガラスと鉛について説明しました。クリスタルガラスというものは鉛が24〜28%も含まれているのだそうです。クリスタルガラスの輝きは鉛という金属が入っているために出せるのだとか。クリスタルガラスを別名鉛ガラスとも言うそうです。クリスタルガラスも、ワインを飲む程度なら問題ないようですが、デキャンター(栓のついた食卓用のガラス瓶)に長期間入れておくのは問題が生じるおそれがあるそうです。クリスタルガラスは割れやすいので、洗ったらそのまま伏せておいたりせず、柔らかい布で拭くこと、また耐水性も耐酸性も耐アルカリ性も弱いので、食品の保存容器には適さないとのことでした。
 また陶器も、飲み口に模様のあるものは鉛が溶け出すおそれがあるので、口を直接つける箇所にはなるべく模様のない器を選んだ方が良いようです。
 普通のガラスにも着色剤としていろいろな重金属が使われており、黄色のガラスにはカドミウムを使うとの報告でした。
 最後に、コーデックスのカドミウム国際基準について、参加者で討議しました。コーデックスは、国際食品規格を作る国際委員会で、米の基準を0.2ppmにしようとしています。EUも0.2に賛成していますが、日本の農水省がわざわざ人の健康に有害という明白な証拠はないなどという英語の論文を提出して、0.4にさせようとしているのです。これをどうしたら0.2にさせられるかという問題です。
 もし0.2にしたら、農水省が買い上げる量が増えるので、支出も大変です。さらに水田の土壌改良をしなくてはならないので、その費用も膨大になるから、農水省は反対しているのだろうという意見が出ました。これに対し立川代表が、カドミウムを吸い上げないような栽培技術を確立していくしかないのではないか、という意見を出しました。
 なおアジア学院の田坂興亜さんは、足尾銅山の影響を、渡良瀬川流域で調査したことがあるが、この流域ではカドミウム汚染がひどかったことなども報告されました。
 また各種調査の中に、卵のデータがないという問題が提起され、国民会議が自前で調査すべきではないかという意見も出されました。これに対し、自前のデータをもつことは必要だが、その前に、東京都消費生活条例に基づく調査の申し出をして、都に調査してもらうべきだという意見も出されました。これには賛成者が多かったので、食品プロジェクトで一緒に活動している食の安全・監視市民委員会と連名で、東京都に卵と魚卵につき、カドミウムなど重金属汚染調査の申し出をしました。
 都の担当者からは、まず直接会って内容を確認したいという連絡が入り、1月30日に消費生活調査係へ出向きました。東京都がこの申し出を受理して調査し、データが出てくると、さらに活動が深まると思います。
 今後も原則として毎月会合を持つことにしています。多くの会員の方が食品プロジェクトに参加してくださることを希望します。

 

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