ニュースレター 第34号 (2005年4月発行)
ごみ処理の税金負担から事業者責任へ
「容器包装リサイクル法」を改正しよう!

容リ法改正全国ネットワーク 服部美佐子

処分場の逼迫で制定、10年目の改正
 家電、自動車など各種リサイクル法のトップバッターとして登場した容器包装リサイクル法(以下容リ法)は施行後10年で見直すとされていて、今年がその時期にあたる。
 事業者は製品がごみになった時まで責任を負うという、「拡大生産者責任」の考え方は世界的な流れで、日本でも「循環型社会形成推進基本法(以下循環法)」が2000年に制定され、家電、自動車と徐々に強まっている。しかし、容器包装ごみが一般廃棄物約5000万トンの約60%を占め、最終処分場が逼迫したため、循環法より5年も早い1995年に作られた容リ法は、責任が一部に止まり、制定時より費用負担のあり方などの問題が指摘されていた。

現行法ではリサイクルコストが増すばかり
 容リ法は消費者が分別、市町村が収集、事業者が再商品化(リサイクル)するという法律である。1997年にペットボトルとガラスびん、2000年に紙製及びプラスチック製の容器包装が対象となった。
 ごみ処理はすべてお任せだった事業者がはじめてリサイクル費用の一部を負担するようになり、2003年度の負担額は約400億円(97年度14億円、事業者数は約6万社(同500社)である。実施している市町村は品目ごとに異なるが、ペットボトルは2891自治体、プラスチック容器包装は1166自治体となっている。
 問題は三者の役割分担と費用である。2003年度、環境省のアンケートによれば、人口10万人以上の市町村でペットボトルがキロ当たり153円、プラスチック製容器包装が97円。一方、事業者負担はペット75円、プラスチック55円で、各々2倍、1.7倍自治体が多く負担している。集めれば集めるほどお金が嵩むため、「リサイクル貧乏」という言葉も生まれている。

リサイクル優先でごみが減らない
 法律によりリサイクルの仕組みができて埋め立てごみは減ったが、肝心の容器包装ごみは減っていない。事業者は少ない負担でリサイクルできるため、「ワンウェイ容器を使った方が得する」からである。生協などが扱うリユースびんは、市町村の回収ルートにのらない「自主回収」のため、税金で集めてくれるワンウェイびんとは、初めから不利な競争を強いられている。循環法で謳っている3R=リデュース(発生抑制)、リユース(再利用)、リサイクルの順番も容リ法では「絵に描いた餅」と言わざるを得ない。 

ごみと環境コストが減る法律へ
 コストがかかって、ごみが減らない容リ法をどう変えるか。改正の大きなポイントは「現在、市町村の役割となっている収集・分別・保管をすべて事業者の役割とし、リサイクルにかかるすべての費用を生産者があらかじめ負担することを通じて製品を購入した消費者が負担する仕組みとする」「リデュース、リユース、リサイクルの3Rの優先順位で推進する手法を盛り込み、リサイクル中心のしくみからごみを減らす法律へ転換を図る」ことの二点である。
 もし、事業者が収集を含めリサイクルにかかる費用のすべてを負担することになれば、その費用は商品に含まれる。つまりリサイクル費用に応じて製品価格は上昇するということになる。事業者は商品が売れなくなっては困るので、できるだけ安くしようと、リサイクル費用のかかる使い捨て容器や複合素材をやめたり、有害物質を使わずにリサイクルしやすい素材で製品を作るようになる。また、市町村単位の収集から事業者による広域的な収集に転換することで効率的になり、費用を安くすることもできる。これまでの納税者負担ではなく、事業者負担=消費者負担にすれば、生産そのものが変わり、ごみが減るはずである。
 さらに、容器包装が消費者に身近なものであることから、リユースできる、CO2排出量が少ないなどの環境メッセージを容器に表示すれば、3Rへ誘導も可能である。

ごみがきちんと減る法律を作ろう!
 市民団体などでつくる「容リ法改正全国ネットワーク」の運動で昨年約96万人の署名が国会に、全国の地方議会から350以上の意見書が国に出されているほか、全国知事会、全国市長会、全国都市清掃会議などからも要望書が提出されている。法律を所管する経産省の産業構造審議会、環境省の中央環境審議会で本格的な協議が始まっている。
 負担の押し付けと誤解し現行法のままでよしとする事業者がいるが、このままでは収集とリサイクルが分断されて効率が悪い、税金による収集ではリサイクル効率のよい製品が評価されないため、ますますコストは膨れ上がってしまう。これまで通りリサイクルコストを納税者としての個人が負担するか、それとも消費者としての個人が負担するか、私たちは選択を迫られている。
 環境に配慮した社会を目指すというコンセプトの元で合意を図り、ごみを減らす消費者、リサイクルに熱心な自治体、リデュースやリユースに努力する事業者が報われるような法律に変えたい。
※容リ法改正全国ネットワークのホームページ
  http://www.citizens-i.org/gomi0/

著書紹介
「ごみ処理のお金は誰が払うのか――納税者負担から生産者・消費者負担へ」合同出版
著者:服部美佐子(NPO法人ごみ・環境ビジョン21)杉本裕明(朝日新聞記者)定価1680円(税込み)3月15日刊行
 ごみ問題をテーマにしたこれまでの本は環境汚染や健康被害の視点、海外との比較論などで、税金投入やごみ処理費からごみ問題を捉えた本はありませんでした。
 本書は、最新のごみ情報や国内での特徴的な事例を紹介しながら、「お金」得に「税金」の使い方・使われ方をキーワードにして「ごみ問題」の現状とその解決策を考えました。特に容リ法に関しては関係者の声を拾いつつ実態や問題点について詳しく解説しました。
 これまではごみ処理やリサイクルに税金を使うことはあたり前と思われてきましたが、それではごみ問題が解決しないことが明らかになっています。
 お金が絡めば、誰もが真剣に考えざるを得ません。既存の体制を崩せない官僚社会を含め、いまの社会のあり様をとらえなおし、税金によるごみ処理から製品を作った生産者とその商品を買った消費者がコストを負担するという解決策の道すじを提示しました。
 近くの書店にない場合は「セブン・イレブン」でもご注文できます(送料無料)。

 

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